一 |
| 瑞御魂(みずみたま)吾が魂に降りまして神の御姿をがませ玉へ |
二 |
| ねぎごとを御心平らにやすらかに聞こしたまひて守りませ岐美(きみ) |
三 |
| 岐美といへどこの世を治むる君ならず魂を治むる清めの神ぞや |
四 |
| 瑞御魂《きみ》とふ名をば楯にとり醜のたぶれの迫り来るかも |
五 |
| 現世(うつしよ)の君より外にきみなしとおもふ人こそ愚かなりけり |
六 |
| 伊邪那岐の岐の字と並び伊邪那美の美の字合せて岐美とこそなれ |
七 |
| 神といひ岐美と称ふも一つなり夢あやまつな神の御子たち |
八 |
| 聖霊よけがれし身をもめぐまひて宮居となして宿らせたまへ |
九 |
| 叢雲を伊吹払ひて天津日の魂の光を照らしませ岐美 |
一〇 |
| 春風の薫りて諸(もも)の花開く長閑(のどか)な御代となさしめ玉へ |