愛善の道
 東の光






愛善の道

戦後、かつての大本がその古い殻を投げ捨て、「愛善苑」として "新発足" したときに出版された歌集です。

『新月の光』によれば、『愛善の道』は愛善苑として新発足してからの最初の教典だったそうです。(「歌集『愛善の道』」参照)


(右)天恩郷を訪れた若山牧水夫人とともに




国々のさかいはあれど愛善のまことの教はへだたりもなし

内外の国のけじめをつけずして光りを与うる愛善の道

天がしたの平和と幸福をもたらすは神のつたえし愛善の道



厭離穢土(えんりえど)などと思うなうつし世は愛善の神まもる楽園

うばたまのやみ夜を照らす光明は神より出でし愛善の徳

ゆめの世と人はいえども愛善の徳にし住めば生ける天地

私の心しなくばおのずから愛善の徳そなわるものなり

愛善の心は神にかようなり神は愛なり善なるがゆえ



天帝は霊力体(れいりょくたい)の三元をもちて一さい万有をつくれり

天地の神の霊魂(みたま)と分けられし人の霊魂はうるわしきもの



天地のまことの象(さま)を察(あき)らめてまことの神の体(からたま)を知れ

ものみなの運化(めぐりうつり)のくるわぬはまことの神の力なりけり

活物(いきもの)の心性(さが)のはたらき察らめてまことの神の霊魂(たましい)を知る

霊交活力体因出燃地成弥凝足諸血夜出(ひとふたみよいつむゆななやここのたりももちよろず)の神の御偉業(みいさお)



真神は万物普遍の霊にして人は天地の経綸者(けいりんしゃ)なる

すめ神の御すがたのままに生れ出でし人は神の子神の宮居ぞ

すみきりし人の身魂に天地のまことの神は宿らせたまわむ

人生の真目的は地の上に無窮の天国たつるにありけり



天国は意志想念の世界なりゆえに霊は不老不死なる

天国は意志想念の世界なり心のけがれは地獄をつくる

ことさらに神は地獄をつくらねどおのがつくりておのが行くなり

生前に死後の備えのなき人は死期せまるとき無限の悔あり

人間は永遠の生命の天国を思いてこの世に善き事をなせ



隣人をあわれむ心を仁という愛は神なり善は徳なり

愛善の花咲き充つる神の代は人の心も華やかなるべし


一一

人のこと悪く見ゆるはおしなべてわが心根のきたなき故なり

悪人とおもえば親しくまじわりてことむけやわせ誠心に

悪人もまことをもちて交れば天性自然の善人なりけり

憎しとはおもうな吾に仇なすは吾を鍛うる神の御心

睨まれてにらみかえすは人ごころ笑うてかえすは神ごころなる


一三

釈迦孔子(くじ)も基督孟子の御教も愛善の道説かざるはなし

神といい仏といえど根本はみな愛善の別名なるべし

既成宗教あまたあれども愛善の二字を捨つれば何ものもなし

愛善の神のおしえは人皆の習いてすすむ誠の道なる

神を愛し人を愛する大道はわが愛善の教なりけり


一七

進み行く月日の駒に神ならいわれは進展主義をとるなり

進むのみただ一心に進むのみ積極主義の愛善の道

逆境に立つ身は大なる順境に向えるものと直(ひた)に進めよ


一八

ちはやふる神のこころは愛善の誠をおきて何ものもなし


二八

愛善の真心もたぬ宗教家のいかで世人を救い得べけむ

戒律のるつぼに入れんむと自由なる人の心をしばる宗教

宗教は理屈にあらず情なりという真諦を知らぬしれもの

愛と善のぞけば宗教道徳ものこらず蝉のぬけがらなりけり

かず多き既成宗教の本源はみな愛善に出でしをさとりぬ

宗教は時所位(じしょい)によりて変りおればわれは時代の宗教を説く

真正の宗教解する者ならばわが愛善の道につどわむ


三一

言行心一致せざれば愛善の教つとうることはかなわじ

言葉よりまず行いをなしてみよ百の舌にもいや勝るべし

からやまと国のけじめをたてずして救いゆけかし愛善の道に


三二

大三災小三災の頻発も人のこころの反映なりけり

天災地変(わざわい)を指おりかぞえまつ虫の冬の霜さきあわれなるかも

予言のみ好きな信者はともすれば妖言過言に脱線するなり

立替を世人のことと勿(な)思いそ立替するはおのが身魂ぞ

手も足も動かさずしてみろくの代はや来よかしと祈る曲神


三三

いずこにも人のなすべき神業の開かれあるを人こそ知らめ

かすかなる道にかないしよき業も積りつもりて神業となる

神さまの御道のためといいながら神松魚節(かつぶし)の八十曲津あり


三五

試みにあうも憂いの雨ふるも悔まず怯じず神にまかせよ

すめ神とともにありせば如何ならむなやみにあうも苦しからまじ

いくたびか神の試練にきたえられあいし悩みも喜びとなりぬ


四八

かんながら神の誠のみおしえは愛善世界の提唱なりけり

世の中の人の心をおさむるはみな愛善のまことの光よ

愛善の道におらねば地の上の国の平和は来たらざるべし

愛善の心世界に満ちぬればこの世はたちまち地上天国

人生の悲惨苦悩も消え行かむ人類愛善みちをさとらば

敵というものはこの世にあらざらむ人類愛の道あゆむ身に

愛善の旗をおし立て行く道にさやらむ曲(まが)はあらじとぞ思う

地の上の国のことごと愛善の実行力にみちびき行かむ

地の上の人の心を和めおきてわれ愛善の光明とならむ

とことわの神のみ国に世の人を救うはまことの愛善の道





京都アララギ支社歌会に参加した王仁三郎